2020.03.23
妊娠7カ月になると、子宮が大きくなって胃が押し上げられるため、一度にたくさん食べてしまうとおなかが苦しくなることがあります。そのような時は、1回あたりの食事の量を減らし、複数回に分けて食事を取る分食等で対応しましょう。
また、前かがみの姿勢やあおむけで寝ることが大変になったり、おなかが大きくなったことによる姿勢の変化から腰に負担がかかったりして、腰痛に悩む人もいます。自分が楽だと感じる姿勢で、無理のない生活を送るようにしましょう。
妊娠中は、赤ちゃんへ血液を供給する必要があるため、循環する血液の量が増えます。そのため、心臓の負担も大きくなります。医学的には、妊娠7カ月で心拍出量は最大になるといわれており、息苦しさを感じる人もいるかもしれません。
このころから、おなかや胸、太もも、腕やお尻に妊娠線と呼ばれる線が現れることもあります。ピンクや赤紫色の線ですが、出産後には時間の経過とともに薄くなっていきます。
妊娠期間中は健康的な食事を取り 、急激な体重増加を防ぐことを心がけましょう。
また、皮膚が伸びてくると痒みが出てくるので、肌に優しいボディオイルや保湿剤などを塗ったり、ぬるめのおふろに浸かったりすることで保湿に努めましょう。
≪注意すべき病気と症状≫
①胎盤の位置の確認
妊娠中期には経腹超音波検査で、子宮のどの位置に胎盤があるかを確認します。通常、胎盤は子宮の中でも上のほう、子宮口から離れたところに付着していますが、下方にあり子宮口の一部や全部を覆っている場合は「前置胎盤」、子宮口まで達していないものの、近くまで下がっている場合は「低置胎盤」の疑いがあります。
経腹超音波検査でこのような疑いがある時は、妊娠24週から31週末までに経腟超音波検査で確定診断を行います。
前置胎盤や低置胎盤での経膣分娩は大量出血の恐れがあるため、帝王切開で出産を行います。低置胎盤でも経腟分娩が可能な場合もあります。
②早産リスクのチェック
早産とは、妊娠22週から37週未満での出産をいい、早産の危険性が高くなっている状態を切迫早産といいます。
早産になると赤ちゃんが未熟な状態で生まれ、合併症を伴う恐れがあります。
一つの目安として、子宮頸管長が短いと早産のリスクが高いと言われています。
子宮頸管長は経腟超音波検査で測定します。妊娠24週以上でも子宮頸管長が30㎜以下である場合は、切迫早産につながる可能性があり、医師の指示に従い、安静にするなどの注意が必要といわれています。
妊娠中期から後期にかけては、赤ちゃんの成長のため、妊娠初期に比べて多くの鉄分を必要としますので、貧血予防に努めましょう。
また、おなかが張った時などに、体を休めるためのポーズをマスターしておきましょう。
仰向け寝が苦しく感じる場合、仰臥位低血圧症候群となっている場合があります。これは大きくなった子宮が下大静脈を圧迫して血流が悪くなり、心拍出量や血圧が低下する状態です。顔面蒼白、めまい、吐き気・嘔吐、冷や汗、呼吸困難などの症状が見られることがあります。
このころは、大きくなった子宮が周囲の臓器を圧迫したり、血液量が増えたりして、頻尿や息苦しさなどのマイナートラブルが起きやすくなる時期です。
体を横にできる時は、身体の左側を下にして右ひざを曲げ、おなかを床に預けるようにした「シムス体位」を取りましょう。
身体がつらい時は、無理をせずに休息を取りましょう。
また、おなかが張りやすくなり、痛みを感じることがあります。歩きすぎや、立ち仕事を長時間していると起こりやすく、通常はしばらく休んでいれば自然と治まることが多いです。
張る頻度が1日に4~5回程度で、5〜10分ほど座ったり横になったりして落ち着けば心配はいりません。休んでも張りが治まらない場合や、少量でも出血がある場合は、切迫早産の可能性がありますので、すぐかかりつけ医に相談して受診しましょう。
マタニティライフも半分以上が過ぎたことで、出産や、赤ちゃんのいる暮らしなどが現実味を帯びてきます。しかし、現実味をなかなか実感できないのがパートナー。
父になる自覚を促すためにも、おなかの赤ちゃんに胎名をつけて一緒に声をかけてみたり、 誕生後の名づけを考えたりしてコミュニケーションをとり、愛情をともに育みましょう。
おなかの赤ちゃんは、妊娠24週~25週ごろになると、時間帯によっては活発に目を動かしている様子も見られるようになります。
産毛が全身を覆い、皮膚はしわしわで老人のような見た目をしています。
このころになると肺の構造が完成し、これまで肝臓で作られていた血液は、だんだん骨髄で作られるように変化します。
聴覚の発達は完成に近づき、味覚も発達してきて、甘味や苦味の区別ができるようになります。
また、嗅覚も発達してきて、赤ちゃんは誕生直後に、お母さんの乳房が発散するにおいに誘われて、乳首へ口を寄せ、おっぱいを飲もうとします。
胎児の五感の中で一番ゆっくり発達するのが視覚ですが、妊娠27週ごろになると、光の明暗を感じるようになります。
母体の子宮とおなかの壁越しに、外界の明るい光を感じる時に、活躍するのがメラトニンというホルモンです。母体の脳の中で分泌されたメラトニンは、胎盤経由で赤ちゃんの血液の中に入り、赤ちゃんの脳に届きます。赤ちゃんはメラトニンと脳のおかげで、外界の明暗を感じるようになります。
これは、私たちがもつ「体内時計」の発達の第一歩。睡眠と覚醒、昼と夜の区別、あるいは1日24時間のリズムなどが発達する基本ともいえるのです。
このように、妊娠7カ月は五感が発達する大切な時期なのです。
《 監修 》
濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師
大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
助産師・保健師・看護師。
産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
はぐふるアンバサダー。
妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
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