2024.01.09
でも、そのときの年齢を考えると、妊娠できるか不安……そんな女性たちの悩みをサポートするのが、卵子凍結という選択肢です。
芸能人の方々が卵子を凍結保存していることを発表している影響もあって、近年はますます注目度が高まっています。
今回はそんな卵子凍結について、メリット・デメリットや具体的なステップなどをご紹介します。
1970年代から始まった晩婚化の進行1)に伴って、女性が妊娠を希望する年齢もだんだんと上昇してきました。
しかし、卵子の質は加齢とともに低下するため、妊活を始める年齢が上がると、一般的に妊娠率は下がってしまいます。
そこで少しでも若いうちに質の高い卵子を凍結し、いつか子どもがほしくなったときにその卵子を融解して使用する、卵子凍結のニーズが高まってきたのです。
卵子凍結とは本来、何らかの病気の治療の影響で卵巣機能の低下が懸念されるケースのために生まれた技術です。
「妊娠年齢を先延ばしにしたい」という社会的ニーズを第一目的として開発されたものではありません。
1)内閣府:第3章 人口・経済・地域社会をめぐる現状と課題
卵子単独で凍結し、融解して受精させるよりも、妊娠率は高まります。
卵子凍結は、まだパートナーがいない女性が、将来の妊娠に備えて行うものです。
一方の受精卵凍結は、現段階では妊娠を望まないカップルのほか、不妊治療中にも選択されることがあります。
複数の受精卵が得られた場合に、多胎を防ぐ目的で、「すぐには使わない受精卵」を凍結するのです。
妊娠率・流産率は卵子の質に影響を受けるため、できるだけ若いうちに卵子を凍結しておくことで、将来の妊娠を希望した際に叶いやすくなるのです。
ただし、卵子凍結には以下のようなデメリットもあります。
卵子凍結は将来の妊娠・出産を助ける方法ですが、決して保証するものではなく、体にダメージを与える可能性もゼロではありません。
メリットとデメリットの両方をきちんと理解し、ご自身が納得できる選択をすることが大切です。
各ステップのおおまかな内容は以下のとおりです。
血液検査や超音波検査を行って、ホルモンや卵巣の状態、成長途中の卵子の数などを確認します。
注射や内服薬のホルモン剤を使用し、できるだけたくさんの卵子を育てるのが一般的。
年齢や体の状態にもよりますが、一回の採卵で効率よく卵子を採取するためです。
膣に「プローブ」という超音波機械を入れ、卵巣の中を画像で確認しながら、細長い針のような器具を使って卵子を吸引します。希望に応じて麻酔を使用するケースもあります。
卵子を耐凍剤濃度の高い溶液に浸した後、-196℃の液体窒素に入れて凍結します。
また、病気の治療前に凍結を行う場合、10代の若年女性も対象となります。
なお、妊娠・出産時の体への負担などを考慮し、凍結した卵子の保管は45歳前後までとしているクリニックが多く見られます。
凍結・融解後に妊娠可能な胚まで育つ卵子は全体の2~3割であるため、採卵を複数回行うなどして、できるだけ多くの卵子を凍結できることが望ましいでしょう。
ただし、卵巣の状態によって採卵できる個数には変動があり、保管には費用もかかります。
「体や環境が許す範囲でなるべく多く保存すること」を目指すといいと思います。
具体的には、凍結した卵子は自然の状態に比べて、妊娠率が半分程度まで下がることがわかっています。
これをふまえ、できるだけ多くの卵子を凍結しておくことが重要です。
ただし、長期間の凍結が原因で卵子が徐々に劣化することはありません。
ただし、移送には費用がかかります。
金額は移送先によって異なりますが、国内なら最大30万円程度、海外で100万円程度と考えておくといいでしょう。
なお、凍結した卵子は非常にデリケートであるため、移送によって破損するリスクもあります。
信頼できる専門業者に依頼するのがおすすめです。
《 監修 》
清水 なほみ(しみず なほみ) 産婦人科医
医療法人ビバリータ ポートサイド女性総合クリニック 院長。
日本不妊カウンセリング学会 認定カウンセラー。すべての女性が「自分らしい輝きを取り戻す」場として、横浜に婦人科クリニックを開業。
婦人科医としての診療のみにとどまらず、漢方やコーチングなどの代替医療も総合的に活用し、患者さんの健康をサポートしている。
HP▶【http://www.vivalita.com/】
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