【Q&A掲載】乳幼児の健康オンラインセミナー第2回目「子どもの育ちと発達障害×性教育」【セミナーレポート】

2024.04.24

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乳幼児の健康オンラインセミナー第2回目:「子どもの育ちと発達障がい×性教育」

2024年4月4日(木)、「はぐふる」と「命育」の共同開催で、「乳幼児の健康オンラインセミナー」の第2回目が実施されました。

セミナーは2部構成となっており、第1部では「子どもの育ちと発達障がい」を、第2部では「乳幼児からの性教育」をテーマにピックアップ。
保護者の多くが気になりつつもなかなか相談しにくい「発達」と「性」の問題について、それぞれの分野の専門家に、基礎知識や具体的なケース別の対応方法などを教わりました。
また、質疑応答の時間では、事前にいただいた参加者のリアルな疑問や悩みを中心に、専門家より解答しました。

 

当日解答ができなかった質問への回答を本記事内で一部ご紹介しているので、ぜひチェックしてください。

(第1部)子どもの育ちと発達障がい

〈講師〉淑徳大学 総合福祉学部 教育福祉学科 准教授
    淑徳大学発達臨床研究センター長 池畑 美恵子(いけはた みえこ)先生

 

〈講演内容〉
第1部では、発達に気がかりな点がある乳幼児〜小学生までのお子さんの療育・相談機関である「淑徳大学発達臨床研究センター」でセンター長を務める、池畑先生が登壇。
子どもの発達を考える際に保護者に求められる視点や、発達障がいを正しく理解するためのポイント、「療育」の意味などを解説していただきました。
講演を聴いた参加者からは「発達には個人差があり、個性を大切にしていいと理解できました」「発達障がいの有無にかかわらず、子どもと接するうえで大切なことを学べました」「周りと競争する必要はないことを医学的な視点で教えてもらい、安心できました」などの声が寄せられています。

(第2部)乳幼児からの性教育

〈講師〉元養護教諭・思春期保健相談士:中谷 奈央子(なかたに なおこ)氏

 

〈講演内容〉
第2部の講師は、小学校と高等学校で養護教諭として勤務した経験を活かして講演、相談活動を行っている中谷さんが登壇。
乳幼児、そして障がいがあるお子さんの性教育について、「性教育先進国」の考え方も紹介しながら教えてくださいました。また、子どもから性に関する質問をされたときの対応や、「性器いじり」「他者との距離が近い」などの具体的な問題への対処についても詳しく触れています。
参加者からは「性教育の最先端を知れて参考になりました」「積極的に考え、学んでいくことが大切であるとわかりました」などの声が寄せられています。

参加者のみなさんからの質問への回答(第1部:子どもの育ちと発達障がい)

セミナーでは質疑応答タイムも設けられましたが、時間内にすべてに回答することは叶いませんでした。

そこで、取り上げられなかった質問の一部に本記事で回答しています。参加者のみなさまも、参加できなかった方々も、ぜひチェックしてみてください。
 

【回答】
淑徳大学 総合福祉学部 教育福祉学科 准教授
淑徳大学発達臨床研究センター長 池畑 美恵子(いけはた みえこ)先生

Q: 生まれてまだ日が浅い頃寝かせようとすると泣いてずっと抱っこしている、しょっちゅう欲しそうな口をして飲み過ぎる、母乳の子で哺乳瓶を嫌がる、7~8カ月の頃も夜泣いてなかなか寝ない、1歳くらいでご飯の時にあちこちゴソゴソ動きながら食べる、ハイネックや硬いズボンを好まない、薄着を好むなどは、繊細・過敏な子として考えた方が良いのでしょうか。どんなことに気を付けていったら良いですか?

A: 講座の中でも触れたように、刺激に対する感受性やお子さんのもつ活動性といった気質の差は大きいと考えられています。

そういった気質の差という大きな枠組みで考えてみると、実はずっと抱いていないと寝ない子、哺乳瓶は絶対に受け入れない子、必ず寝入りばなに泣く子、という子は少なくありません。洋服の好みも同様です。
挙げて下さったお子さんの様子自体は(育てる上での大変さはあると推察しますが)、著しく特異的であるとは感じません。
ご質問の回答としては、あまり早い段階からそういう枠組みで固定せずに、お子さんが安心できる・心地よく過ごせることを第一に、「この子はこの子の感じ方がある/こういう子もいる」という感覚で、大人が敏感になり過ぎず、むしろ大人がおおらかになることが大事だと、大人の戸惑いを一旦横に置いて、お子さんに安心の眼差しを向けてあげて欲しいと思います。

Q:感情・自我の欲求をうまく受け止める、何を訴えたいのかを考えるのが大事と伺ったのですが、中々うまく子供にヒアリングができません。子供の会話を聞き出す際にどのような声掛けをする、続ければいいのでしょうか?

A: 子どもの感情・自我の欲求は、なかなかことばには出てこない、という前提で考えてよいと思います(実は大人も同様ではありますが)。

しかし、大人が「推察する」ことはできます。
表情や振る舞い、前後の出来事等も含めて感情を想像し、質問ではなく気持ちを鏡に映し出してあげるような感覚で、なるほどそうだよねと受け止める、一回り大きな器で入れ子のように子どもの気持ちをすっぽり包む、そのような構えで、ゆっくりとことばをかけてみてはいかがでしょうか。

Q: 4月から小学校の支援学級に通う予定です。保育園までは同じように遊んでいた友達と、学校は同じなのにクラスが違うこと、周りと比べてできないことがどんどん増えていくこと、について子ども自身はまだ気づいていません。今後、友達と同じクラスになりたい等言われた時に、どのように対応すればよいのでしょうか。

A:違うクラスに行くことに不安を感じていることが感じ取れる場合、十分にその不安を聞ききる、その上でお子さんが安心できる返答をすることになるかと思います。(〇〇クラスの先生がこんな風に待っているよ、同じ1年生で行事も一緒だよ等)

できない事への訴えも、基本はその悔しさや不安を十分に聞ききることが第一だと思います(アドバイスや説得、説明を急がない)。
一方、支援級での生活も体験した上で、それでもご本人が友達と同じクラスで学ぶことを強く望むのであれば、その可能性について考えることも必要になるかもしれません。これは質問への直接の回答ではないかもしれませんが、発達に気がかりのあるお子さんであっても「本人の意思や選択」は無視できません。
現実的には難しい、それは理想論に過ぎないという意見もあるかもしれませんが、たとえ結果的にはクラスを変えられないとしても「本人の意思、希望、選択」に保護者をはじめとする周囲の大人がきちんと耳を傾け、悩み、よりよい選択を支援するプロセスは無駄にはならないと思います。

参加者のみなさまからの声(事後アンケートより)

セミナー参加者に対して行ったアンケートには31名の方にご協力いただきました。

そのうち90.3%の方が「セミナーに参加したことで疑問や不安が解消した」と回答してくださっています。
 


具体的な感想には「気になっていた2つのテーマを学べて満足しています」「とてもわかりやすく、実践につなげられる内容でした」「何度も聞きたい内容でした」「今後も、子どもの健康に関わるさまざまなセミナーを開催してほしいです」といった声が上がりました。

一方で、「もっと深掘りして聴いてみたい子どもの成長や発達障がいのテーマはありますか?」の質問にも想像以上にたくさんのご要望が寄せられ、子どもの成長を支える方々へのさらなる情報提供の必要性を強く実感しています。
「はぐふる」は、より多くの乳幼児の健康づくりに寄与すべく、今後もセミナー開催をはじめとしたさまざまな取り組みを実施してまいります。今後の展開にもぜひご期待ください!

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《 監修 》

  • 池畑 美恵子(いけはた みえこ) 教授

    淑徳大学 総合福祉学部 教育福祉学科 教授 
    淑徳大学発達臨床研究センター長
    公認心理師、臨床発達心理士
    発達に気がかりやつまずきのある幼児と小学生の療育・学習支援と臨床研究を行っている。
    著書:感覚と運動の高次化理論からみた発達支援の展開- 子どもを見る眼・発達を整理する視点(学苑社)など

     

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